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はじめての大冒険。

はじめての冒険

連日暑い日が続いておりますが、皆様お変わりありませんでしょうか。
我が家も、毎日のラジオ体操、役割分担に、体力作り、学校課題への取り組みなど
親子ともども毎日必死に生きています!(笑)
日々、団体行動のような岡本家。夏の強化合宿もいよいよ中盤戦。

毎年迎える夏休みも、その年その年で、描かれる物語は異なります。

みなそれぞれ、今年は今年の、オリジナルの物語を紡いでいます。
今回はこの夏生まれた「はじめての冒険」物語をお話させて頂きたいと思います。

夏休みに行われる岡本家の成長の儀式。
儀式と言えば、大げさかもしれませんが、
小学生になって初めての夏休みを迎えた子どもは、ある一つの節目を迎えます。

それは「1人で電車に乗ること」。

我が家の5人の子ども達は、何をするにしてもデビュー戦の時期が大体決まっています。
決めているというわけではなく、
子ども達が「やりたーい!」という気持ちを優先させると、大体似たような頃に、その時期を迎えます。

掃除をやりたがるのは、大体2歳。
料理をやりたがるのは、大体3歳。
おつかいに行きたがるのは、大体4歳。
全てが形になりだすのが、大体5歳。というように。

そして小学校1年生となった6歳。
子ども達は例外無く、公共交通機関に1人で乗ることに挑戦します。

このデビュー戦の時期については、
それぞれのご家庭で絶好のタイミングがあると思いますが、
我が家の子ども達は、小学校1年生になって初めての夏休みに、その時を迎えます。

初めての1人で電車に乗るという子ども達にとっては、大きな冒険。

ゴールは3ヶ月前まで毎日通っていた幼稚園。
「一年生のつどい」という同窓会に参加するために
1人電車に揺られ、幼稚園へ向かうのです。

同級生に会えるという期待と、1人で大丈夫だろうか?という不安。

いろんな想いを胸に、雨の中出発する新1年生の次男。
そして本人以上に、朝から落ちつかない親のワタシ。
何度経験しても、我が子のデビュー戦は親の方が緊張してしまいます。

息子が電車に揺られている間に、私たち夫婦は密かに先回り。

幼稚園に入る息子を見届け、ほっと胸をなで下ろす、
この一連の流れも、今年で4回目を迎えました。

今年はあいにくの雨となった電車デビュー戦。

容赦なく降り注ぐ雨に気をもみながら、帰りの電車を待つ母と弟。

次男を乗せた電車が待ち遠しくてたまらない私と三男。

次男不在の電車を見送るたびに肩を落とし、「まだかな…」とため息が漏れる…
そして落胆は次第に不安へと変わっていくのです。

どうしよう・・・・あの子、迷子になってしまったんじゃ・・・。

母の心が不安で張り裂けそうになった時、突然鳴り響いた一本の電話。
電車に乗って帰ってくるはずの次男からの電話でした。

「ただいまー!」

「え?どうしたの?電車で帰ってくる約束じゃないのー!?」

「どっちに乗っていいか分からなくなったから、歩いて帰って来た!」

「え?この雨の中を?」

「うん。」

「幼稚園から?1人で?」

「うん。」

「結構遠いよ・・・幼稚園からうちまで。」

「うん。」

その電話は、電停に迎えに行った母とは裏腹に、先に自宅に帰り着いた次男からでした。

雨が大地を打ちつければ打ちつける程、
心が不安で押しつぶされそうだった母は、息子の元気な声を聞いていると、
緊張の糸が切れたと同時に、涙が溢れるのを止めることができなくなっていました。

「あのね、雨がすごくてね、紙袋が破けたんだ!」

「うんうん。」

「紙袋のものが全部道に落ちちゃったの・・・」


「うんうん。」


「ごめんなさい。アルバムが汚れちゃった・・・」


「うんうん。」


「でもね、すーーーっごく楽しかった!」


「うんうん。」


「ねー、ママ、なんで泣いてるの?」


「うんうん。」

その時のワタシは、抱きしめながら頷くので、精一杯でした。

ついこの前まで、幼児として見なされていた次男が、
いつの間にか自他ともに認める少年となり
自分の判断で、自分の足で、その一歩を踏み出すまでになった頼もしさを感じると同時に
自立へ着実に向かって歩んでいるという寂しさもやはり感じてしまう親心。

「もう1人で大丈夫!」

力強く笑う息子に、少し前まで何をするにも母と一緒だった
幼さやあどけなさは見当たりませんでした。

母の気がつかぬ間に、またひとつ成長の扉を開いた息子。

息子が前進した分、母との距離が広がったのを感じた瞬間。

「大きくなって・・・」
そう呟く母に

「でしょう〜!!!」と笑う息子。
初めての冒険を終えた息子は、胸いっぱいの自信に、目を輝かせているように見えました。
経験こそ子どもを大きく成長させるのかもしれません。
初めての冒険は息子にとっても、母にとっても大きな冒険。
一つ一つの階段をともに踏みしめていきたいと思った夏の一日です。

最後までご精読ありがとうございました。
走り続けるママウンサー、岡本安代でした。

【2014年8月 うぇぶひだまりより「初めての大冒険。」】

 

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