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感謝の柔道。

思ったことを言葉にすることが得意じゃない。

言いたいことがあっても、言わないことを選んでしまう。

そんな女の子だった。

生まれて初めて、自分がやりたいと思ったことを口にした。
あの日のことは忘れない。

「わたし、柔道がやりたい。」

小学校4年生の時だった。

戸惑いを隠しきれなかった。

・・・え?・・・柔道?

ピアノが好きで、おままごとが大好き、家族でお出かけしても、
鬼ごっこより、お花を摘むことを楽しむ女の子だった。

そのみーたんが「柔道」とは・・・。
運動は運動でも、いろいろあるのに、なぜ「柔道」?!

体も小さくて、物静かなみーたんが、体と体をぶつけ合う柔道とは・・・

柔道初日。
か弱い声で、泣きそうになっていたみーたん。


押しつぶされるたびに、みーたんは悔しそうに歯を食いしばっていた。

柔道を始めて7年目の春。
去年は受験でおあずけだったので、1年ぶりの練習。

試合に出ても負けることがほとんどだったけれど、
それでも、柔道が好きで好きでたまらなくて、高校入学を先生に報告に、道場を訪れた日。
久しぶりに道着に袖を通したみーたん。

嬉しそうだった。

いつもなら目を合わさない外野の母へ、視線を送り、目が合えば、ニッコリ微笑む。
喜びに、溢れていた。

久しぶりに見た果敢に挑む姿に、母は涙が出た。

たくましく育ってくれたことが、嬉しかった。
入退院を繰り返していたあの頃が懐かしい。
生死を彷徨ったりしたこともあった。

今、目の前で動き回るみーたんの中に、あの時の面影は残っていない。

時に激しく、時にしなやかに、力強い身のこなしで、戦っている。

胸が熱くなった。

みーたん、ありがとう。
先生、ありがとうございます。

先生の叱咤激励なければ、今のみーたんはありません。
心から感謝申し上げます。

 

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