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どんなあなたも、大好きです。

6月28日。
2021年のこの日は、月曜日。

新しい1週間が始まったこの日。
彼女はいつものように慌てて飛び起き、急いで着替えてリビングに降りてきた。

 

「おはようございますっ!もう出ます!!!」

 

_____ちょっとちょっと!ご飯は食べていきなさーい!

朝食をゆっくり食べることは、ほとんどなくなった。

とにかく時間が惜しい。
そんな様子で、朝食を流し込み、自転車にまたがる。

「行ってきまーーーーーーす!!!!!」

鉄砲玉の勢いで、家を飛び出す。

小学校を卒業してから、そんな朝が日常となった。

セーラー服に身を包んだあの日から、
中学生になったあの頃から、
彼女にとっての夢は目標に変わった。

先輩たちの話に、目を輝かせる。
職場研修で、憧れ職業の人たちの話を聞いて、
その思いは一段と強くなった。

彼女は強い。
想いが、強いのだ。

五人兄弟の真ん中の彼女は、
言葉でうまく気持ちを表現するということは得意ではないかもしれない。

でも確固た気持ちを、ずっと心に燃やし続けている。

彼女は諦めない。
ただ黙々と来る日も来る日も、自分にできる今日という日を紡いでいく。

そんな彼女が流す涙を、私はこれまでほんの数回しかみたことがない。

その多くが悔し涙。

報われる努力など、そうあるわけじゃない。
彼女は努力が報われるとは限らないということを、一番知っている。

どんな時も、まだまだこれから。

一つ一つを積み重ねていく彼女の横顔は、いつも楽しそうだ。

背負い投げをされてもなお、果敢に攻めていく、あの時と似ていた。

今日という1日は、彼女にとって、目標を叶えるための1日。

高校生になった彼女の初めての三者面談。

担任の先生と彼女のやりとりこそ、きっと彼女の気持ちの強さを思いの深さを物語っているのかもしれない。

「今の段階で、こんなに細かくなりたいことが決まっているとは。
進む学部も決めているとは!資料を用意しましょう!」

「ありがとうございます!ぜひよろしくお願いします!!」

母は、ただ横で、彼女の横顔を眺めていた。

彼女の決意を受けて、高校1年生になったばかりの三者面談としては
これまでに経験したことのないような、具体的な内容に、
こうやって、一歩ずつ夢に近づいていくのか・・・
どうかこの子の夢が現実のものになりますように・・・。

ただただその思いでいっぱいだった。


とにかく静かな女の子だった。
自己主張が苦手な女の子。
そのうえ言葉も遅かった。
だから、とても心配になったこともあった。
気管支も弱く、入退院を繰り返したこともあった。
生死を彷徨ったこともある。
生きていればそれだけでいい、と何度涙を流しただろうか。

こんなに逞しく育ってくれて、感謝しかない。
最近は、互いに小言を交換することもある。
お互い人間。いろいろあるもの。

とはいえ、これまで支え合って生きてきた。紛れもない事実。
きっとこれからも支え合って生きていく。

6月28日、次女みーたん16歳誕生日。

生まれてきてくれてありがとう。
ここまで無事に育ってくれてありがとう。

母は、どんなあなたも大好きです。

誕生日、おめでとう。

 

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