子育てエッセイ

▶︎時よ、とまれ。

■オープニング・ナレーション

遠い地平線に夕陽が沈み、
夜の帳が下りる時、
不意に訪れる感情の気流は、
きょうも懸命に駆け抜けた命の営みの証です。

過ぎゆく時は一瞬。
2度と戻らぬ今日を、愛おしく振り返り、
満天の星空を眺めていると、出会いの奇跡が思い出されます。

できなかったことを悔やむのではなく、
できたことを喜ぼう。

感情は、心の声。
「じゃっど」というのは、鹿児島の方言で
「そうですね」という相槌に使う言葉。

おやすみ前のひと時、
心の声に「じゃっど」と寄り添い、新しい明日を迎えるための
「物語」の定期便。

「じゃっどストリーム」

皆様の本日の最終便、お供いたしますのは、
わたくし、5人の子育てママウンサーの岡本安代です。

■本日の物語■

【時よ、止まれ。】

携帯電話に残ったアルバムの写真を見ていると、
ついこの前のことが、遠い昔のことのように感じる。

さっき感じた今が、
もう遠い昔の過去になっていることに気付かされる。

子ども達の寝顔を眺めていると
また今日という日が1日過ぎ去ってしまった。。。と胸が苦しくなった。

「ママ、じゅっと、そばにいてね!」と
小さな手足を母の体にまとわせたベッドタイム。

あの小さな手足から、母の体につたう温もりがまだ忘れられずにいる。

「このまま時間が止まればいいのに」

いつも母が思っていることを、息子が口にした。

「どうして?」母は聞いた。

「だって、このままずっと、今みたいに家族みんなで一緒にいたいんだもん。」

そうか。
そう感じてくれたのか。母は素直に嬉しかった。

「もう一回、ママのお腹の中からやりなおしたいとも、思ってるよ!」

時間を巻き戻したい、と思っている母の想いと、またも重複した。

「どうしてそう思うの?」母は聞いた。

「だって、小学校に行ってから、全然ママと一緒にいられなくなったもん。」

そうか。まだそう思ってくれているのか。

母は素直に感激していた。

時間は巻き戻せない。今日は戻ってこない。

だから、これから迎える明日を
いかにキラキラさせるか、を特に考えるようになった。

でも本当は、今日という日を見送りたくなかった。

子ども達と一緒にいられるかけがえの無い1日が、
過去になってしまうのが、怖かった。

今年もまた紅葉の季節がやってきた。
来年もまた、家族みんなで紅葉やどんぐり、心地よい風、秋を感じあえますように・・・。

 

■エンディング・ナレーション

遠い昔、幼い頃に物語を読んでもらった記憶を辿りながら、
夜空を見上げると、あの時と変わらず、
星がまたたいていることに気がつきます。

満天の星空に、夜間飛行のジェット機の翼のランプを見つけると、
興奮して指差す我が子の姿に、自らを重ね、
誰かと共に刻む時の尊さを感じずにはいられません。

たくさんの笑顔を、ありがとう。優しさを、ありがとう。

お送りして参りました今日の物語が、
あなたの心に、優しく「じゃっど」と寄り添えますように。

おやすみ前のひと時、お届けいたしました「物語」の定期便、
「じゃっどストリーム」

夜間飛行の
お供をいたしましたのは
わたくし、5人の子育てママウンサー岡本安代でした。

明日もみんなが無事で、元気に、笑顔で過ごせますように。

【朗読コンクール優勝者が読む物語】時よ、止まれ〜ジャッドストリーム〜おやすみ前の声の定期便〜いつもご視聴ありがとうございます。5人の子育てママウンサー岡本安代です。アナウンサーとしての仕事の傍ら、朗読家としても活動を行っております。/第1回 日本朗読協会 全国朗読大好きコンクール優勝憧れの夜のラジオ番組を、私なりの世界観で表現してみました。今日の癒しと明日の活力になれば嬉しいです。▶︎今日の物語「時よ、...
【朗読コンクール優勝者が読む物語】時よ、止まれ〜ジャッドストリーム〜おやすみ前の声の定期便〜 youtu.be
【朗読コンクール優勝者が読む物語】時よ、止まれ〜ジャッドストリーム〜おやすみ前の声の定期便〜
ABOUT ME
岡本安代
鹿児島を拠点に全国で活動するリアクション大きめのフリーアナウンサー。元鹿児島読売テレビアナウンサー。大家族率いるパワフルアナウンサーママとして日本テレビ系バラエティ番組「人生が変わる1分間の深イイ話」で密着放送以来、愛と元気溢れる肝っ玉母ちゃんぶりが全国的に注目される。5人の子育て経験を生かし、家事と育児と仕事の両立するための独自のマネジメント術が全国で話題となり、全国で行う講演会は、「聞いた瞬間から元気になれる」「明日が変わる」とリピーター続出、総講演回数1000回を超える。言葉の力「安代塾」主宰。メディア出演、司会業の他、朗読、演劇活動も行う絶賛子育て満開中の5人の子育てママウンサー。