おうちごはん

2:大変だ!ソーセージがっ?!

大変だ!ソーセージがっ!

コーマルは焦っているようだった。

コーマル「ママーーー!!大変だ!!ソーセージが!!!」

 

・・・ソーセージが?!

(落とした?焦がした?一体どうした?)

コーマル「タコになりそうにない!!!!」

 

 

・・・・え?!( ̄□ ̄;)

ソーセージを二等分するところまでは出来たらしいが、
のあと、どこにどう切り込みを入れるのかがわからなかったらしい・・・・

えーっとね。まあ、どっちでもいいかもしれないけど、ママは、平べったい切れ目の方を上にして、下の尖った方を足の方にしてるかな〜。そこに切れ目を入れて炒めたら、足みたいになるよ。

慌てふためく息子を落ち着かせよるように、母はなるべく穏やかな口調で話していた。

たかが切るだけ、されど切るだけ。

コーマル「ふーん!そうなんだ!」

母のアドバイスを受け、仕切り直しの料理戦士。

大好きなソーセージ。

切り込みが入っていようがいまいが、食べるには何の問題もない。
何も気にせず、きっと美味しく食べていたに違いないのだ。

ただ、自分が調理をするとなると、話は別。

知っているつもりでも、知らないことが多い現実、なかなか前に進まない。

いつものコーマルならソーセージは斜め切り。

いつもと切り方を変えるだけで、こんなにも大騒ぎになるとは。ヽ(゜▽、゜)ノ

全てがお祭りだった。

ソーセージの先端に切り込みを入れるという、とてつもなく序盤の工程にも関わらず、

まるでおせち料理を作るほどに神経を研ぎ澄ませる料理人コーマル。

しばらく台所には静寂が続いた。

ほどなくしてジューっと炒める音がする。

どうやら全てのソーセージに切り込みを入れて炒める工程に入ったらしい。

やがて、いい香りが漂ってきた。

 

お姉ちゃん!見て!

コーマル「よーーし!出来たー!美味しそうーーーー!」

おー!美味しそうだねー!いいにおーい!

母の元へ運ばれてきたソーセージは、しっかりと火が通り、
切り込みを入れたその先端は、タコ足のように、ちゃんと開いていた。

そこにちょうど帰宅した長女カンちゃん。

カンちゃん「おーーー!すごいじゃん!」

コーマル「足ができたんですよ!遠足のソーセージみたいでしょ!!!」

カンちゃん「本当だー!コーマル、もうお弁当作れるねー!!」

さすが、カンちゃん。全力の褒めっぷり。

やったぜ、コーマル。 全力の喜びっぷり。

これぞ、言葉のチカラ。

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そもそも、ソーセージ炒めでこんなに喜びが待っているとは思わなかった。

だっていつもやってるんだもの。彼にとってなんのことはない。そう思っていた。

同じ料理なのに、同じじゃない。「切る」から、「切り込みを入れる」という変化。

日頃、台所で作業する中では、なかなか気が付かなかったであろう小さな変化。

その小さな変化は、きっといま目の前にいる料理番長にとって
大きな一歩だったに違いない。

コーマルは心なしかその表情に達成感を漂わせていた。

コーマル「さぁー!次は、なに作ろっかな〜!」

ごーーーーーーい!楽しみだーー!!!

意気揚々と持ち場に戻る小さな料理番長に、母と姉はいつもより声を張って喜び、
ニヤニヤしながら視線を見送るのだった。

(次へ続く)

【2018年7月31日 『切り込みを入れるって難しいのだ!』】

ABOUT ME
岡本安代
鹿児島を拠点に全国で活動するリアクション大きめのフリーアナウンサー。元鹿児島読売テレビアナウンサー。大家族率いるパワフルアナウンサーママとして日本テレビ系バラエティ番組「人生が変わる1分間の深イイ話」で密着放送以来、愛と元気溢れる肝っ玉母ちゃんぶりが全国的に注目される。5人の子育て経験を生かし、家事と育児と仕事の両立するための独自のマネジメント術が全国で話題となり、全国で行う講演会は、「聞いた瞬間から元気になれる」「明日が変わる」とリピーター続出、総講演回数1000回を超える。言葉の力「安代塾」主宰。メディア出演、司会業の他、朗読、演劇活動も行う絶賛子育て満開中の5人の子育てママウンサー。