少年を救った姉の言葉
コーマル「どうしよう・・・(>_<)野菜炒め作ったらいつもみんな喜んでくれるから、野菜炒めを作ろうって思って・・」
カンちゃん「キュウリ切ってたの?」
コーマル「・・・うん。」
頭の中では野菜炒めを作ろうと、全力を傾けていた料理戦士コーマル。
でも実際の手元は、いつも作り慣れている定番のキュウリのコールスローに一直線。
習慣という威力は実に凄まじい。
コーマル「・・・どうしよう(゚ー゚;」
コーマルは、すがるように姉を見た。
カンちゃん「いいよ、いいよ!どっちも作ればいいじゃん!コーマルなら、すぐ出来るよ!」
コーマルは「え?!いいんですか?!どっちも作っても…」
カンちゃん「逆にみんな喜ぶと思うよー!コーの美味しい料理をどっちも食べられるんだから!
あ、冷蔵庫にカニカマあったから、キュウリコールスローに入れてみたら?もっと美味しくなりそうじゃない?」
コーマル「うわー!カン姉ちゃん、すご〜い!さすがー!」
さっきまでのコーマルの焦りに似た表情が一転、早くどちらも作りたくてウズウズしているかのように、声が弾んでいた。
温かな姉心。
カンちゃんからカニカマを受け取ったコーマルの表情は、
これでもかというほど、目がキランキランしていたという。(カンちゃん談)
そんなカンちゃんが、今回全ての写真を撮ってくれているが、
記録を綴りながら、思いがけず 姉目線をダイレクトに感じることができ、
母は思わずニヤけてしまった。
姉も、弟をとても愛おしく想い、慈しんでくれているんだと思うと、
胸が熱くなった。
仕切り直して、コーマルは、野菜炒めに取り掛かった。
キュウリをそこまで切っておきながら、まさかの野菜炒めかーい!と心でツッコミながら、母は遠くからその行く末を見守った。
もう外はだいぶ暗くなってきた。
それは、コーマルが料理を始めてからだいぶ時が流れていることを表していた。
プロフェッショナル坊主の流儀。
一番仲良しの直近の兄セーマンが帰宅した。
汗だくの体を清め、お風呂に入って、陣中見舞い。
セーマン「お?!コーマルー!何作ってるの?!すごいねー!」
いつもなら、コーマルは全てを投げ出し、大好きなお兄ちゃんセーマンとハグして走り回って大騒ぎするところだが、今日ばかりは違っていた。
兄の全力ハグにも背中で返事をする。
まさかのプロフェッショナルコーマルの流儀。
コーマル「よーし!野菜炒めできた!お皿、なんでもいいですか?!」
どうぞどうぞー。木の皿とか、どうぞー。
コーマル「ありがとうございますー!盛り付けますねー!」
ようやっと3品目のゴールが見えた。
コーマルの定番レシピ。じっくり弱火でキャベツの野菜炒めが完成。
コーマル「えーっと、パパは一番多めに・・次にタイ兄ちゃん・・・」
ブツブツ呟きながら、一皿一皿盛り付けていく。
コーマル「カン姉ちゃんはそんなに食べないですよね。最近・・・」
・・・笑。
5人兄弟の末っ子あるある。想像以上によく見える 。よく見てる。
7人家族で一番若い末っ子コーマル。
下から見上げる家族の様子はどんなものなのだろう。
呟きの中に、末っ子としてのコーマルを垣間見たようで、嬉しくなった。
コーマル、いいぞ。大したもんだ!あともう少しだ。頑張れ。
母は待つぞ。姉も兄も、みんな待っているぞ。
いつもの夕飯時刻はゆうに過ぎていた。
それでもみんな何もいわず、あえて手を貸さず待ち続ける。
それが姉と兄からのコーマルへのエールだった。
すでに料理始めから3時間が経過していた。
(次に続く→)
【2018年8月4日 「姉の言葉と弟の目のきらめきと」より】