1:ソーセージの逆襲
待つ、ということ。
いつもの夕飯時刻はゆうに過ぎていた。
それでもみんな何もいわず、あえて手を貸さず待ち続ける。
それが姉と兄からのコーマルへのエール。
最初に取り掛かったソーセージ焼きが、もうだいぶ昔のことに感じる。
ソーセージに向き合ったあの瞬間から3時間。
卵焼きからは2時間が経過し
キャベツの野菜炒めからは、すでに3時間が経過していた。
写真を並べてみると、その窓明りから時間の経過がよくわかる。
確実に、夜は更けていた。
冷めたら、ダメですか?
調理に時間がかかる、
というわけでなく、何を作ろうか、そして、どうやって作ろうか、どう切ろうか、
どれくらい作ろうかという、悩み考えることにどうしても時間がかかってしまうのだ。
ふと、時計に目をやったコーマルはその時間経過を初めて自覚することになる。
コーマル「うわっ!もうこんな時間?!」
時を同じくしてコーマルは、一つの不安を抱き始めていた。
コーマル「ママー、もう全部冷えちゃった・・・せっかく作ったのに、美味しくなくなっちゃったかもしれない。。。」
そんなことないよ。大丈夫よー!コーマル!
・・・じゃあ、質問です。(なぜかブルゾン安代風(≧▽≦))
お弁当はーソーセージも卵焼きも冷めているけどー、
いつも美味しくない??・・・どう?
コーマル「ううん!美味しい!すっごく美味しい!」
でしょ〜!だから大丈夫!間違いなく美味しいよ!
みんな冷めてても美味しいねーってビックリするよ!
コーマル「そっか!о(ж>▽<)y ☆(キラーン)」
長女カンちゃんの言っていたコーマルのキラキラした目が、そこにあった。
しばらくすると・・・タタタタタタタっ!
コーマルの足音が、母の目の前で止まった。
コーマル「ママー!見てー!きゅうりサラダ!初めてカニカマを入れてみたんですよ!カン姉ちゃんがカニカマ入れてみたら?って教えてくれたんですよ!やっぱりカン姉ちゃん、すごいですねー!
ほら!自分でいうのも変ですけど、美味しそうですよねー!」
いつも以上に美味しくできたキュウリサラダを、いつも以上にやたらと謙遜しながら、
全力でPRする料理戦士。
そして、ここに4品目が完成した。
息子の宣言と母の葛藤。
コーマル「っふぅ〜。おかず、足りますかね〜?あ、お肉とかお魚とかないですよねー 。唐揚げとか作った方がいい気がする・・・。
それともトンカツかなぁ?
そしたら、カン姉ちゃんとかタイ兄ちゃんたち超喜びますよ!」
・・・え(・∀・)?!
今から唐揚げ?!
トトトトトトトトンカツ?!
うそ━━━(゚∀゚)━━━ん!!!
(ヤスバーン、心の声。)
いやいや、十分でしょ〜!コーマルが一生懸命作ってくれたってことが
みんな最高のごちそうよー!(もう3時間以上経過。母・必死。)
コーマル「うーん。おかずになる肉とか魚とかなんかないと、みんな、お腹いっぱいにならないですよ・・・」
・・・・この人、本気だわ・・・(;´▽`A“
・今から唐揚げ?トンカツ?!こりゃかなりの長期決戦よ。
・この場合、流れに任せた方がいいのか?
・一緒に作れば時間はだいぶ削減できる。とはいえ…
・いやいやここまで一人でやってきたのに、最後が共同作業はもったいない。
・これで十分!と押し切るか?でも確かに、村長とかタイ兄とか足りないよねぇ
・そうね・・・そうね・・・そうね・・・(母・心の葛藤)
そうだ!
ヤスバーンはコーマルにある提案を試みた。
その提案を聞いたコーマルは、すぐさま
最後の1品・長女カンちゃんへの恩返しの一品をこしらえるため、
またキッチンへと走っていった。
もうゴールはすぐそこまで見えていた。
(次に続く→)
【2018年8月6日 「お腹いっぱいになって欲しいから」より】