「今日のごはん、なーに?」
「何時にごはんですかー??」
矢継ぎ早に胃袋戦隊の質問が飛んでくる。
「えー!!ちょっと待って!すぐ作るからー!」
お腹を空かせた我が子らの声に焦りを感じつつ、台所という戦場に向かう母。
仕事終わりの余裕のない母の脳内は、ほんの少しの苛立ちに気付かぬふりをして
1分1秒でも早く食卓を整えることに全集中。
一心不乱に台所で戦う母に、息子がポツリと一言。
「1日で一番ご飯が楽しみなんですよねぇ〜、いつも学校の帰り道、夜ご飯何かなぁって考えながら帰ってくるんだー!!!」
何気なく発された言葉に、母はハッとした。
この子達にとって、1番の楽しみに位置付けられた夕飯。
その夕飯を作る立場として、母としてのやりがいを、焦りと苛立ちで見失うところだった。
そうか、母はこの子達の食事を通した喜びと幸せの創造者としての役割を与えてもらっているのだ。
嗚呼、今夜は何を作ろうか。
母はなんだか、楽しくなってきた。
みんなが楽しみにしてくれている夕飯、張り切って作ろうではあるまいか!
母はわくわくを胸に台所に立った。
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