こんにちは。ご訪問ありがとうございます。
5人の子育てママウンサー、岡本安代です。
今日は、ちょうど4年前の秋の出来事を、今ここに。お付き合い頂けますと幸いです。
5人の子供達と過ごしていると、毎日があっという間に過ぎていく。
休みの日、公園に出かけた。
遠くから「ママー!見てー!」と声がする。
私は「はーい!」と返事をしたものの、すぐにその姿を確認することができずにいた。
やがて「ここだよー!」と馴染みの声が空から降ってきた。
声の聞こえて来る方を見上げると、そこに待っていたのは、赤く焼けた夕空をバックに、
アスレチックの頂上で、誇らしげに笑う子供達の姿だった。
「すごいでしょー!一人で登ったんだよ!ほら!お空に届きそう!」
まるで勝ちどきを上げるかのような弾けんばかりの声には、少年の誰の力も借りず、
自分だけでアスレチックを制した喜びが溢れていた。
ついこの前まで、幼稚園生だった6歳の息子。
5人兄弟の末っ子ということもあり、両親はもちろんのこと、中学生の姉や兄にくっついて行動することが多かった。
ピカピカの1年生になって半年。ブカブカだった制服に体が追いついてきた。
逞しくなった。行動範囲が広がった。これまでより出来ることが多くなった。諦めなくなった。挑戦するようになった。泣かなくなった。待てるようになった。くじけなくなった。一人でやりきるようになった。
ほんの少し前まですぐ泣いていたのに、すぐ投げ出していたのに。
それは末っ子だけではない。
我が子というものは、押し並べてついこの前まで赤ちゃんだったような気がするものだが、長女も中学生生活、残り半年。実に大きくなった。
母の手を握って離さなかった頃はもう昔の話。
「出来ない」ことばかりだった日常を、いつの間にか子供達は「出来る」に変えている。
目に見えない壁という名の「成長の扉」を、彼らは自分達の手で開けていく。
我が子が「成長の扉」を開けるという決定的瞬間に伴走者として立ち会うことができたなら、それはとても幸せなことだと思う。
扉が開いた瞬間に彼らが見せる表情や感情は、その時にしか共有できない唯一無二のものである場合が多いから。
実際は、その全ての瞬間に立ち会うことは難しい。そしてそれは日常の中で不意に訪れることが多い。だからこそ「出来ない」を「出来る」に変えるために、子供達が懸命に扉を開けようとする姿を、できるだけこの目に焼き付けたいと最近強く思う。
こんなに近くで我が子の成長を見つめることができるのも今だけ。我が子と過ごす日々は日めくりカレンダーをめくるようなもの。日々巣立ちに向かって過ぎていく。
後にも先にも2度と訪れることない今という瞬間を大切に丁寧に過ごしたい。
【2016.11.26付け 南日本新聞週末エッセー】