目指せ女優への道。お稽古日記
【4月2日(日) 感情が動いた記念すべき日。
これまでと違った感情が初めて生まれた記念すべき日。
慎吾の心を揺さぶる。これがこのシーンの目的。
華子の言葉で、慎吾の心を揺さぶらなければならない。
「華子は今、どんな気持ちでやってますか?」
__威厳をもって、余裕ある感じで、上から諭すようにやってます。
これはそのシーンで登場する共演者のみなさんと作り上げた華子像だった。
「あ、違うな・・・。」
言われたようにやってみる。
すぐに対応できる実力は自分にはまだない。それでも自分なりに必死でやってみた。
「森本、助けてあげて。」
自分よりも10歳も若い、先輩の力を借りつつ、昨日、今日と3回目のトライ。
3回目にして、初めて自分の中で新たな感情が生まれた。
お稽古始まって以来、初めての感情。
それは「楽しいかもしれない」という感情だった。
悲願の舞台、夢にまでみたお芝居の世界。それは、あまりにも深い世界だった。
毎日、苦しくて仕方なかった。
やってもやってもできない現実を突きつけられる毎日で、絶望しかなかった。
檄を飛ばしていただくのはありがたい。慎んで受け止め、精進していくしかない。
懸命に稽古しても、思うように表現できていないことが悔しかった。
そして、自分ができないために、稽古の流れを完全に止めてしまうことが辛かった。
「このままだったら華子さんかわいそうよ。どうにかしてあげないと。」
優しさで一生懸命ご指導くださるTATAMIチームの先輩の皆さんの言葉が、痛かった…。
苦しみと痛みと悔しさと。
稽古がスタートして3週間。
初めて「楽しいかも」という気持ちを自分の中に発見できたのだ。
森本さんが言った。
「昨日よりもよくなってましたよ!」
___ありがとうございます!一つ一つ積み上げていこうと思います!
森本さん、実は、今回初めて楽しいかもって思えたんです。
「それ、正解だと思いますよ!!」
森本さんには、たくさんのアドバイスをもらい、メンタルまでもとても支えてもらっているが、こうして備忘録を書きながらふと思う。
森本さんが言った正解というのは、「楽しい」が正解なのではなくて、
「私の心が動いている」ということが正解なのかもしれない、と。
その真意はわからないが、まずは自分の感情が動かなければ、人の心を動かすことはできないのだ。
香織さんが声をかけてくれた。
「安代さん、もしかしたら、音を決め込んでしまってませんか?
いろんな音を出すことを意識してみたら、もっと幅が広がると思います。
毎回この音でいくぞって決めている気がするんです。
それを意識するだけでまた違うかもしれないなーって思って。」
親身になって分かりやすく教えてくれた。
娘ほどに歳の離れた先輩に声をかけてもらった。
「まだもっとできる気がします。岡本さんが頑張っているのわかるから、私たちもしっかり頑張んなきゃって思えます!」
「殻を破る」ことの大切さを教えてくれた丸太さん。
帰り際、私に手招きして、稽古場の扉で言ってもらった言葉を私は生涯忘れないと思う。
「大丈夫です。着実によくなってますよ。大丈夫です。
自分を信じて、感情をぶつければいいんです。」
その言葉で私は、膝から崩れ落ちてしまった。
扉のそばでは、先輩がタバコを吸っていた。
いつも多くを語らない先輩が、静かに笑いかけてくれた。
「お疲れ様。」
大きく前進した1日だったのかもしれない。
やればやるだけ。
自宅では長女カンPが最後の夜。兄弟会でおでかけしたらしい。
おうちでの最後の晩酌がとても楽しそうだった。
皆一様に寂しがっていた。
カンP、いつもありがとう。本当に、ありがとう。
セーマンは制服が完成し、いよいよ高校生。
変化の春。成長の春。
やればやるだけ、結果が出る。それが役者の世界。
丸太さんがおっしゃったが言葉が蘇る。
問題は、後半戦。重要シーンが待っている。
しっかりと落としこまなければ・・。
やればやるだけ。やるしかない。
元気もりもりYouTube(動画配信)